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3−4.モックアップテストと実施工の結果
長尺材の溶接実験の結果、溶接トーチのアーム部が長くなっても、装置全体の剛性が十分でノズル先端での過渡振動が生じなければ、問題なく良好な溶接が可能であることがわかった。また、シールドガスとして炭酸ガスを用いているために、長時間の連続溶接ではノズルヘのスパッタの付着により、水中での局部空洞形成条件に悪影響を与える危険性が懸念されたが、3m程度の溶接長ではほとんど影響がないことが確認された。溶接結果の外観も開始部と終了部とでほとんと差は認められなかった。
メガフロートの最終洋上接合の公開実験に合わせて、7月16日と公開日当日の18日にそれぞれに約2.5mの水中溶接を実施した。Fig.13に水中溶接を実施している状況を示す。Fig.14に溶接結果の外観写真の例を示す。接触式の倣い装置は正常に作動し、最終的な超音波試験にも合格し、良好な溶接結果が得られた。一実施工では、他の工事区画との電源の併用による電圧低下、水の濁りなどによる水カーテンポンプの目詰まり、水中ビデオでの確認が不可能なことなど、施工上注意すべき事柄が多く生じたが、周到な準備をすれば、良好な湿式溶接が可能であることが判明した。

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Fig. 13 View of underwater welding operation on Mega-float

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Fig. 14 Appearance of underwater weld bead

4.結言
メガフロートの洋上接合への水カーテン式水中溶接適用の可能性について基礎的に検討するとともに部分淡水式の水中溶接機を開発し実機に試験的に適用し、以下の結論を得た。
(1)板厚12mm、角度45度のV開先継ぎ手に対して、ギャップ幅10mmまで海水中及び水道水中とも大気中と同等な継ぎ手性能力滞られる。
(2)ギャップ10mmでは、目違いが2mm以内で良好な溶接が行える。
(3)フラックス入ワイヤを用いると外観と断面形状は優れた結果が得られるが、付着したスラグを除去しなければならない。
(4)初層のみ水中溶接し、2層目以降を大気中で溶接することにより硬度も大気中での結果とほぼ同等に出来る。曲げ、引張などの機械試験結果も良好であった。
(5)接触式センサーによる開先位置倣いと適正なウィービング幅を選定すれば、実際の洋上接合においても良好な突合出溶接が可能であった。
1) J.F.dosSantos "Underwater Welding Processes,Mechanized and Automated System". International Workshop on Underwater Welding of Marine Structures. p.362(1994).
2)榊原、他、"水中溶接に関する基礎的研究"、四工試研究報告10号、p.128(1985)。
3)anon"メガフロート-超大型浮体式海洋構造物-"、メガフロート技術研究組合、p.9(1995)

 

 

 

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